情報誌「グリーンコンシューマー東京」

情報誌「グリーンコンシューマー東京」は、1年に4回、季節ごとに発行しています。

創刊号 2001 Summer

グリーンコンシューマー東京ネット設立に寄せて

  • 永井 進(法政大学教授) 「ともに立ち上がりませんか!!」

    私たちは、自分や家庭の生活を維持・向上させるために毎日、消費生活を送っています。しかし、消費生活は家庭で自己完結するのではなく、社会、そして環境に大きな影響を及ぼします。

    私たちは自動車をマイカーと呼びますが、自動車は交通渋滞や大気汚染などの害を他の人々に押し付け、地球の温暖化を促すだけでなく、道路計画を通じてまちづくりにも大きな影響を及ぼしています。

    消費生活から出てくるゴミは焼却場で燃やされ、ダイオキシンなどの汚染を生み出すとともに、海浜や山を埋め立てて処分されています。 地球の環境資源が稀少化する今日、資源を再利用し、途上国や将来世代に良好な環境を残す義務が私たちに課せられています。消費生活が環境に及ぼす影響を知り、大量生産・大量廃棄のシステムの中で作られてきた大量消費を振り返り、環境に配慮した生活の在り方を求めるグリーンコンシューマーの役割が今、大きく求められています。

    現在、生産者は環境の配慮した製品を開発し始め、商店はリサイクル商品等の環境に配慮した商品を販売し、自治体や事業者はグリーン調達を進めています。こうした循環型社会を目指す動きの中で、グリーンコンシューマーリズムは世界の消費者運動の中で大きなうねりとなっています。環境に付加を与える生活のあり方を見直し、消費生活や買い物を通して、環境保全につとめる運動にともに立ち上がりませんか。


     

  • 市毛良枝(俳優・環境カウンセラー)  「小さな力も合わせれば大きな力!!」

    環境と一言で言っても、あまりにも多岐に渡っています。環境カウンセラーの登録のための専門分野だけでも22項目あります。そして一人ひとりのできることはあまりにも小さいと思います。

    自然の中にいると、この美しい自然を破壊してはならないと思うのです。でも、自分の存在が環境を汚染しているという矛盾はまぬがれません。ゴミ処理やリサイクルをやっていても、矛盾だらけで悩みはつきません。

    大量生産、大量消費のシステムを変える必要があると言われる一方で、ものが売れなければ経済の回復はないといわれています。しかし、ゴミ問題の解決や、循環型社会の実現を考えると、他の方法で経済回復を考える時はきており、まさにそれがいまだと思うのです。 消費者側からいえば、安いものは嬉しい。

    でも安いと喜んで買ったものが、ゴミになるときに環境を破壊するとしたら、本当に安いのでしょうか。自分の生きる土壌を破壊して、食材は、暮らしは、健康は、地球の未来は保証されるのでしょうか。結局はとてつもなく高い買い物ではないでしょうか。買う時に、いつかそのものがゴミになることを念頭において買わないと、ゴミは減らせないし、汚染も止められないでしょう。 1人でできることは小さいが、小さな力も合わせれば必ず大きな力になります。

    この度発足するグリーンコンシューマー東京ネットの活動が、一人ひとりの地道な活動をサポートして、政治や経済を動かすまでの力となり、やがては、大きな地球の未来に繋がることを願って止みません。